サイドを突破したのにクロスを上げずにこねくり回す展開を見るたび、私はいつもこう思うのです。
「もっとクロスをばんばん上げてゴールを決めたい!」
もちろん、細かいパス回しでの流動的な攻撃も見応えがあります。
カットインで中央に切り込んでのシュートも格好いいと思います。
でも、どーんとクロスを上げて、どーんとヘディングを決めるゴールシーンは何度観ても痺れるのです。
だからというわけではありませんが、ロングボール戦術を多用するこの監督を私は嫌いになれません。
「デヴィッド・モイーズ監督」
今ではネタ監督してお馴染みになってしまったモイーズ監督。
やはりユナイテッドでの失敗はインパクトがあり過ぎたようですね。
でも、11年間率いたエヴァートンでは年間最優秀監督に何度も選ばれるくらい安定した戦績を残していましたし、あの頃は名将というイメージが間違いなくありました。
というわけで、今回はエヴァートン時代のデヴィッド・モイーズ監督のロングボール戦術を再現して
クロスをバンバン決めたいと思います。
目次
■モイーズの戦術的特徴
まずはエヴァートン時代のモイーズ監督の戦術的特徴をピックアップしていきます。
※時代によって若干印象は異なりますので、今回はフェライニ加入後のエヴァートンのイメージで再現していきます。
・前線へのロングボールで攻撃の起点を作る。
・サイド攻撃からのクロスを多用する。
・ポジションを固定するので流動的な動きは少ない。
・システムは4-4-2、4-4-1-1、4-1-4-1を使いわける。
これだけを見ると散々いじられたユナイテッド時代のサッカーと同じ印象ですね。
ただ、常勝を求められるユナイテッドのようなメガクラブでは上手くいきませんでしたが、エヴァートンのような中堅クラブでは、この戦術だからこそのメリットのほうが多かったのだと思います。
それでは、中堅クラブに最適なモイーズ戦術ならではのメリットを見ていきましょう。
ロングボール戦術のメリット
まず、モイーズ監督の代名詞ともいえるロングボール戦術から。
無理につながずにロングボールを前線に放り込むということは
「自陣の危険なエリアでボールを失うことを回避できる」というメリットに繋がります。
ビルドアップにつまったらセンターバックに戻して前線に放り込む展開は、決して面白くはないかもしれません。
でも、失点のリスクを減らすという意味では、特にエヴァートンのような中堅クラブにおいては間違った選択ではなかったことは成績が物語っています。
ポジションを固定したサイド攻撃のメリット
サイドの選手はつねにサイドに張り、センターの選手はセンターにと固定する戦術からは流動性はあまり感じません。
ユナイテッド時代に香川が干され気味だったのは、香川の動き回ってボールを受けるスタイルがモイーズの戦術に合わなかったとの意見も多かったですよね。
ただ、ポジションをきっちりと固定することは「攻守が切り替わったときにバランスが崩れにくい」というメリットがあります。
守備の際は4-4のブロックをすぐに作れますし、攻撃に回ったときは速い展開でのサイド攻撃を仕掛けやすくなりますからね。
■図にするとこんなイメージです。
※赤丸が守備ポジション、青丸が攻撃時のポジション
また、ボールロストした場合でも、センターよりもサイドで奪われるほうがカウンターの危険度は低いので
「サイドを起点にする攻撃は守備の面でもメリットがある」といえますね。
■今回の戦術再現のテーマ
このようなリスクを抑えた手堅い戦術、
いうなれば「負けないサッカー」が持ち味のモイーズ戦術。
でも、プレミアの中堅クラブらしいといえば、それまでの戦術ですので、戦術再現となると見所が少なくなってしまうかなとも思いました。
ですので、今回はテーマを絞って再現していきます。
・クロスを沢山あげる
・負けないサッカーをする
今回はこの2つのテーマの再現を目指して色々と試していきます。
■ワイドなサイド攻撃からクロスを上げる戦術を作る
サイド攻撃からのクロスを上げるために必要なことは
相手ディフェンスが揃う前にサイドを突破するとなります。
同じくクロスボールを多用した「デルネーリ戦術」では「高い位置でボールを奪ってからの速いサイド突破」でクロスを上げるシーンを増やすことを狙いました。
でも、モイーズの戦術はハイライン&ハイプレスではありませんので
「リトリートをして相手を引きつける」そして「ロングボールからのサイドアタック」で裏のスペースを狙い、クロスを上げるチャンスを増やしました。
リトリートからの速い攻撃を意識した守備設定
ボールを奪われたら全力疾走で自陣エリアにリトリートする場面が目立つエヴァートンの守備を再現するために「守備タイプ:リトリート」「ディフェンスライン:低い」に設定します。
そして、ワイドなサイドアタックを仕掛けやすくするために「コンパクトネス:広い」にします。
ただ、このままだとボールを奪った後のカウンターを仕掛ける位置が低すぎることが多いので「攻守レベル:攻撃的2」まで上げます。
ただ、全体的に前掛かりになり過ぎないように「攻撃人数:少ない」「守備人数:多い」さらに「攻撃的サイドバック」は外しておきます。
「リトリート」で「低い、広い」にするけど「攻守レベルは上げる」だけど「攻撃人数は少ない」という
それぞれの設定を打ち消すような設定にすること
が今回の設定の鍵となります。
一見、超守備的な戦術に見えると思いますが、攻守レベルを上げること、そしてワイドな設定にすることにより速い攻撃が仕掛けやすくなっています。
でも、攻撃人数を抑えていますので、守備の安定感も十分だと感じますよ。
■ボールを奪われたら、すぐに撤退して4-4守備ブロックを作る。
攻撃にはあまり人数をかけない設定にしていますので守備は安定しています。
■相手のサイド裏を狙って走るSMFにDMFからロングボールが渡る場面。
コンパクトネスを広いにして攻守レベルを上げていますので、ボール奪取後は速くワイドな攻撃を仕掛けやすくなります。
■相手守備ブロックの大外を走り抜けるSMFにロングパスが渡る場面。
相手を引き込むことによって、守備が追いつかないスペースを狙った攻撃が決まりやすくなります。
■リスクの低い試合運びで負けないサッカーをする
危険なエリアでボールロストをしないようにロングボールを多用する設定にしました。
■サイドバックからはアーリークロスで前線に放り込みます。
サイドバックは「アーリークロス持ち」が多いので便利です。
■センターバックからのロングボールをフェライニが前線に落とす場面。
他のフォワードでは相手ディフェンスに競り負けることも多いですが、ここは流石のフェライニです。
この後は右サイドに展開してクロスを上げることに成功しています。
■センターバックからのロングボールをフェライニがサイドに落とす場面。
ロングボール一本とヘディングだけでサイド裏を取れています。
このような攻撃をしている限りは危険なエリアからのショートカウンターを受ける心配がありません。
また、「ポジショニング:フォーメーション重視」「サポート距離:遠い」さらにポジション配置もワイドにしていますのでポジションチェンジはほとんど見られません。
■クロスを沢山あげる
今回の戦術では2試合を録画しました。
クロスの本数は7本と5本という結果です。
グラウンダーのクロスが多かったのが少し不本意ですが、これだけクロスを上げることが出来れば満足です。
※でも、クロスの空振りも多かったです(泣)
■モイーズ戦術まとめ
今回の戦術再現は「フェライニを獲得したから」というだけの理由で試してみました。
トップ下にするか、STにするか、CFにするか迷いましたが「長身で能力の高いポストプレー持ちの選手」は少ないので、せっかくですのでCF登録にしてみました。
試しにトップ下でも使ってみましたが、高い位置で起点を作るという意味ではあまり効果的な動きになりませんでした。
また、今回の戦術はシンプルな設定ですので見所は少ないかもしれませんが、守備のバランスは結構いい感じになったと自分では感じています。
いつの日かベッカム、ルカクといったクロスボール戦術にぴったりの選手を獲得したら、またこの戦術を試してみたいなと思います。
そして、クロスをバンバン決めたいと思います。
■この戦術が向いていると思われるタイプ
・クロスからのゴールが大好きな人
・昔のプレミア的なロングボールでの速い展開が好きな人
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今回の設定の試合動画
戦術、フォーメーション
システム:4-4-2(4-4-1-1)
※ワイドな配置にしています。
戦術 | |
---|---|
攻撃タイプ | カウンター |
ビルドアップ | ロングパス |
攻撃エリア | サイド |
守備タイプ | リトリート |
プレッシング | セーフティー |
攻守レベル | 攻撃的2 |
戦術オプション | |
---|---|
ポジショニング | フォーメーション重視 |
サポート距離 | 遠い |
攻撃人数 | 少ない |
追い込みエリア | サイド |
ディフェンスラインの高さ | 低い |
コンパクトネス | 広い |
守備人数 | 多い |
オフサイドトラップ | OFF |
コメント
戦術フェライニの再現ですね。うちも長身のポストプレイヤーが入ってきたら、試してみようと思います。
いつも楽しく拝見していて戦術もこっそりとりいれています(笑)。おかげ様で今回のスパスタMCで三シーズンぶりに優勝できました!チェルシー時代のモウリーニョ(一次政権)の高速カウンター戦術なんか再現していただけると嬉しいです^^
>>ヨッシーさん
コメントありがとうございます!!
そして優勝おめでとうございます♪
あのときのチェルシーはインパクトがありましたよね!
初めてドログバを見たときはとんでもないのが出てきたなと驚きましたw
面白そうですので近々取り上げさせていただきます(^o^)